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akamon lab ブログ 2024年10月アーカイブ

大学受験で生徒に「理解したフリ」をしないためのアプローチ

「理解したフリ」をしないためのアプローチ

はじめに

「参考書やテキストを一通り読んで、理解したと思っていたのに、いざ問題に挑むと解けない。」
「重要なポイントを暗記したはずなのに、試験の時に思い出せない。」
こんな経験は多くの学生に共通しているのではないでしょうか。このような状況の裏には、“理解したフリ”をしてしまう心理が潜んでいるかもしれません。では、この“フリ”を防ぐためにはどのようなアプローチが必要なのでしょうか? 自分自身が置かれている現実に目を向け、目指す結果と自分の現在地を明確にすることが重要です。

目標設定の重要性

試験合格を目指す場合、まずは「過去問」に挑戦することが有効です。過去の試験問題を解くことで、合格するために必要な知識やスキルが明確になります。「試験当日に合格点を超える答案を提出する」というのが、目指すべき具体的な結果です。ここで重要なのは、「理解したつもり」でいるだけでは不十分で、実際に結果を出すための行動が必要であることです。

大人でもわかったふりをする

大人も職場で「わかったふり」をすることが多いものです。上司の説明や顧客の要求に対して、「分かりました」と返答しながら、実際には理解していないことが少なくありません。これには、仕事をスムーズに進めるための配慮としての側面がありますが、その結果、誤解や失敗を引き起こすこともあるのです。このような態度が問題視される理由は、以下のように考えられます。むしろ大きくなればなるほど無知は恥という意識が芽生えるためどんどん嘘で回りを塗り固める人間になってしまいます。

「わかったふり」をする理由

  1. 恥ずかしさとプライド
    生徒たちは、自分が理解できていないことを認めるのが恥ずかしいと感じることが多いです。「分からない」と言うことで、周囲の反応を恐れたり、プライドが邪魔をして素直に質問できなくなるのです。

  2. 周囲の評価を気にする
    同級生や先生からどう見られるかを気にするため、「分からない」と言って質問することで評価が下がるのではないかと不安を抱えています。

  3. 自己解決を試みる
    一部の生徒は「後で自分で調べて理解しよう」と思い、先生には理解したフリをしてしまいます。しかし、このアプローチは理解の遅れや誤った知識の定着を招く危険性があります。

予備校で「わかったふり」を防ぐためのアプローチ

1. 質問の仕方を工夫する

単純な「わかりましたか?」という質問は、生徒が「はい」と答える原因になりがちです。イエスかノーしかないクローズドクエスチョンはなるべくしないことを心掛けています。そのため、「難しい?」や「理解できていない部分はある?」と尋ねることで、生徒が自分の理解度を見つめ直し、正直に答えやすくすることができます。

2. 具体的な質問を促す

「どの部分が難しかった?」と具体的に尋ねることで、生徒が理解できていない箇所を明確にし、効果的な解説が行えます。生徒が自分の言葉で説明させることも、理解度を確認するのに役立ちます。

3. 安心できる環境を作る

生徒が「分からない」と言える環境を整えることが大切です。教師が優しく受け入れることで、生徒が質問することを恥ずかしく感じないようにします。「分からないことを言っても大丈夫」とのメッセージを強調することで、安心感を与えることができます。

「わかったふり」の悪影響

受験勉強において「わかったふり」をしてしまうことは、実際に理解が伴わないため、深刻な問題を引き起こします。学校の授業では通用するかもしれませんが、受験ではそのような態度は通用しません。苦手科目から逃げることで、合格の可能性が低下するのです。勉強は、自分の理解できていない部分を明らかにし、その穴を埋めていく作業の繰り返しです。難しい問題に挑戦すればするほど、自分に不足している部分が明らかになります。

受け入れる勇気が成長を促す

「わかったふり」をすることは、「できない自分を認められない」ことと同義です。この状態では学びが進まず、成長の機会を逃してしまいます。逆に「わからないことを認める」ことは、成長の証でもあります。むしろ、わからないことがある時点で、あなたは一歩先を行っているのです。成長を阻むのは「わかったふり」を続けることであり、苦手なことから目を背けることです。

おわりに

「理解したフリ」をせず、自分の理解度を正直に見つめ直すことは、学びにおいて非常に重要です。受験勉強だけでなく、日常生活においても、分からないことを素直に受け入れる姿勢が成長を促します。今後は、自分の理解度を見つめ直し、苦手な部分に真摯に向き合うことで、より効果的な学びを実現していきましょう。


2025年度大学入試における志願者数の動向と新課程入試の影響

2025年度大学入試における志願者数の動向と新課程入試の影響

2025年度の大学入試が近づく中、大学志願者数が増加傾向にあります。この現象は、これまで大学進学を考えていなかった層が新たに大学への志望を表明していることに加え、18歳人口の一時的な増加も影響しています。具体的には、現役高校3年生の18歳人口が前年に比べ約3万人増加し、109万人に達する見込みです。このため、大学への志願者数は大幅に増加すると予測されています。国公立大および私立大においても、志願者数の増加は主に総合型および学校推薦型選抜によるものとされています。

選抜方式のシフトと競争の厳化

2025年度の入試では、大学の募集人員が一般選抜から総合型・学校推薦型へとシフトしています。主な変更として京大法学部や茨城県立医療大学、京都工芸繊維大学は後期日程を廃止し、東京学大や福井(工学部)でも後期の募集人員を大幅に減らすことが決定しました。偏差値の高い大学の後期日程は運要素も強くなるためもともと削減傾向でしたが前期日程においても変更が行われています。千葉大学(情報・データサイエンス)や高知大学(農林海洋科学)が一般選抜から総合型・学校推薦型へと募集人員を移行しています。このような動きの背景には、多様な人材を確保するための大学側の意図があると考えられ、今後もこの流れは続くと見込まれます。

大学入学定員の増加は見られないため、志願者数の減少に伴う競争緩和は一時的に「落ち着く」ことが予想されます。
推薦の価値が見直されるとともに推薦を増やせば偏差値が上がるため大学ブランドの向上にも一役買うという一石二鳥の施策というわけです。

私立大学の入試変更と競争の影響

私立大学においても、私学の雄とされる早稲田大学と慶應義塾大学で変更が見られます。早稲田大学は共テ方式を拡大し、複数の学部で入試方法を変更することが発表されています。文学部や文化構想学部では一般方式の募集人員を減少させ、英語4技能テスト利用方式を増加させる方針です。特に、文学部の一般方式は80名減少し、例年以上に厳しい入試が予想されます。慶應義塾大学も文学部で新たに英語資格検定試験を利用可能にするなど、入試の変更が見られます。

共通テスト新科目「情報」の重要度は?

今年から追加される新科目情報ですが、各大学の共通テスト「情報」の設定状況を分析すると、国立大学の前期日程では全募集区分の97%がこの教科を必須としており、国立大学受験者にとって避けて通れない状況になっています。
ただし、合格に大きな影響を与える大学は少なく、配点割合が10%未満に設定されている大学が多数です。一方、私立大学では、共通テスト「情報」を必須とする大学は少なく、各大学の方針に注目が必要です。
影響は0ではないがあまり気にするほどの変化はないということです。

また共通テスト「数学」「地理歴史・公民」については、数学の設定状況は安定していますが、地歴公民については、難関大学が「地歴公共」を認めない傾向があります。私立大学の中でも、同じ大学内で「地歴公共」を認める学部と認めない学部が分かれる場合があり、受験科目の確認が重要です。あらかじめ自分の志望大学をしっかり確立させてから科目決定をしましょう。

大学志願率の上昇とその背景

高校3年生の中で大学進学を希望する生徒の割合、「大学志願率」は上昇傾向にあります。しかし、大学志願者数では、18歳人口の減少を解消するには至っていません。志願者の増加は主に学校推薦型選抜と総合型選抜に関連しており、これらの選抜における競争は厳しくなるものの、一般選抜に関しては極端な難化はないとされています。

国立大学における推薦選抜の拡充 女子枠の導入

国立大学では、京都大学法学部が後期日程での募集を廃止し、新たに学校推薦型選抜を実施することが決定しました。その他の国立大学でも「一般から推薦へ」という動きが見られ、特に理系学部においては女子枠の創設や拡充が進んでいます。東京医科歯科大学や東京工業大学の統合により設立される東京科学大学、名古屋大学、千葉大学、神戸大学などで女子枠が導入される見込みです。女子枠の導入は今後も続くと考えられますが、既存の募集人員が変動するため、注意が必要です。
男女平等が叫ばれるこの時代に女子枠の導入は賛否ありますが理系は特に女子が少ない傾向があり日本の将来においては女子優遇をしてでも理系、または大学進学に性差なく進んでほしいという狙いが見受けられます。

18歳人口の変動と受験競争

18歳人口は2018年度から減少を続けてきましたが、2025年度には一時的に増加する見込みです。2024年度の私立大学一般入試では、募集人数が20万3,326人に対して282万1,169人が出願し、倍率は13.9倍に達しています。興味深いことに、一般選抜が減少した一方で、共通テスト利用が増加しており、志願者数の動向が見られます。

志願者数が最も多い大学は近畿大学で、続いて千葉工業大学、MARCHのM明治大学、東洋大学、法政大学、立命館、早稲田大学、日本大学、関西大学、中央大学と続いています。偏差値中近辺の大学がやはり人気がありMARCHにニッコマは相変わらずの人気と言えるでしょう。MARCHの中でも理系学部の少ない青山学院と立教大学は純粋な人数ランキングでは頭数が足りない結果となっています。
日大は例年もっと上位ですが昨今の度重なる不祥事で敬遠されているようです。同レベルの大学の東洋に受験者を取られる傾向が見られます。

まとめ

2025年度の大学入試における志願者数の増加は、さまざまな要因によるものであり、特に新課程入試の影響が色濃く出ています。大学側の選抜方法のシフトや女子枠の導入など、新たな試みが続く中、受験生は変化する入試環境に適応していく必要があります。志願者数の動向を注視しながら、今後の大学入試に備えることが重要でしょう。


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