HOME > akamon lab ブログ > 理系大学における「女子枠」とは?

akamon lab ブログ

< 共通テスト対策はどうする?専用の対策が必要?  |  一覧へ戻る  |  関関同立の基本情報と受験難易度 >

理系大学における「女子枠」とは?

理系大学における「女子枠」とは?

理系大学において女子枠が注目されています。その名の通り、女子枠とは選抜対象を女子生徒のみに絞った入試枠のことを指し、一般入試とは異なり、主に推薦入試や総合型選抜といった形式で実施されています。この取り組みは、理工系分野への女子進学者数が長年にわたり低い水準にとどまっていることを背景に、大学や社会全体がその是正を目指して進めてきたものです。以下では女子枠の特徴や導入の背景について詳しく説明します。


女子枠の目的と急増の背景

女子枠の導入目的は明確です。理工系分野における女子学生の割合は世界的に見ても低く、日本では特に顕著です。この現状を打破するため、大学側は女子枠を設けることで、理工系分野を志望する女子学生を増やし、性別の多様性を高めようとしています。また、女子枠の制度を活用することで、女子受験生にとっては新たな進学機会が開かれるという利点もあります。

この取り組みを後押ししたのが、国や経済界の政策や提言でした。2020年5月、文部科学省が発表した教育未来創造会議の「第一次提言」では、女子の理工系進学率の低さを「是正すべき深刻な課題」と位置付けました。この提言に基づき、政府は理系分野における女子学生の支援を強化する方針を示し、特定の大学を集中的にサポートすることを明言しました。

さらに、経済界も女性理工系人材の重要性を強調しています。経団連は「女性理工系人材の育成・活躍」を推進する提言を発表し、企業が必要とする技術者や研究者の不足を補うために女子枠を含む多様な取り組みを支持しました。これらの要素が相まって、女子枠を導入する大学が急増する結果となりました。


理工系分野の女子進学者数の現状

文部科学省の調査によれば、理工系学部の女子学生割合は依然として低い水準にあります。2014年度には女子の入学者数が全体の16.2%(17,706名)にとどまり、その後は微増を続けていますが、2023年度でも19.5%(21,461名)に過ぎません。依然として男子学生が多数を占め、男女比の是正には程遠い状況です。
大学でも理系では女子の進学率は低いままで理工学部では各研究室に女子は一人いればいい方というような状態が続きました。そのことが理由で女子が理系に行くことを敬遠したりと悪循環に陥っています。打開策の一つとして枠を設けることになりました。


女子枠を設ける大学とその動向

現在、多くの大学が女子枠を設けており、主に国立大学や一部の公立大学が積極的に導入しています。例えば、以下の国立大学が女子枠を設けています。

  • 北見工業大学(工学部)
  • 電気通信大学(情報理工学域)
  • 東京工業大学(複数の学院)
  • 名古屋大学(工学部)
  • 島根大学(材料エネルギー学部)

これらの大学は、推薦入試や総合型選抜を通じて女子枠を設け、女子学生が応募しやすい環境を整えています。また、女子枠に特化した奨学金制度を導入している大学もあり、経済的支援を通じて女子学生の進学を後押ししています。

芝浦工業大学は、女子枠の先駆的な導入例として注目されます。2018年度に工学部の一部学科で女子枠を開始し、その後対象学科を拡大。さらに、女子学生に対する奨学金制度を導入するなど、多角的な支援を行っています。


女子枠入試の利点と活用法

女子枠入試の利点は大きく分けて以下の3点にあります。

  1. 受験難易度の低下
    多くの女子枠入試では、通常の入試に比べて学力要件が緩和される傾向にあります。これは募集人数が男子ほど多くなく、倍率も低めであるためです。

  2. 経済的支援
    女子枠から入学した学生には奨学金や入学金免除などの経済的支援を提供する大学も多くあります。たとえば芝浦工業大学では奨学金制度を充実させ、女子受験生にとって大きな魅力となっています。

  3. 多様な選考形式
    総合型選抜や推薦入試が中心であるため、学力試験に頼らずに面接や小論文でアピールできる点も大きな特長です。特に、高校での評定が優秀な女子生徒にとっては有利な入試方式と言えます。


女子枠導入の課題と注意点

一方で、女子枠にはいくつかの課題や注意点もあります。

  • 専願制が主流
    私立大学を中心に、多くの女子枠入試が専願制を条件としているため、併願を希望する受験生にとって選択肢が限られる場合があります。

  • 周知不足
    女子枠の存在自体が十分に知られていないことがあり、受験生に活用されにくい状況が一部で見られます。実際に定員割れしているところもありねらい目ではあります。しかし本来の役割は果たせていないといえるでしょう。

  • 選考基準の透明性
    面接や小論文の評価が大きな比重を占めるため、選考基準が不透明だと感じる受験生や保護者もいる可能性があります。


理工系分野の女子枠

女子枠は、受験における女子の進路選択の幅を広げるだけでなく、大学側にとっても多様性を高める重要な施策です。日本の理工系分野が持続的に発展するためには、性別を問わず優秀な人材を集めることが不可欠です。

女子枠は、進学におけるアドバンテージを提供するだけでなく、入学後も奨学金などの支援があることから、学びの機会をさらに広げる制度といえます。この制度を効果的に活用し、理工系分野で活躍する女性が増えることが期待されます。

女子枠の活用を検討している受験生にとっては、早期に情報収集を行い、自分の目指す学部や大学の制度を把握することが重要です。未来を切り開くための制度として、ぜひ積極的に活用してみてはいかがでしょうか。


< 共通テスト対策はどうする?専用の対策が必要?  |  一覧へ戻る  |  関関同立の基本情報と受験難易度 >

このページのトップへ