共通テスト国語の変更点と分析:2025年試験の特徴
2025年度共通テスト国語は、大問構成や出題形式の一部に変更がありましたが、全体として難易度は昨年並みと評価されます。以下に、出題の変更点、特徴、および分析を示します。
1. 出題構成と概要
今年の共通テスト国語は、以下の5つの大問で構成されていました:
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第1問:評論文
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文章テーマ:「観光における眼差し」
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昨年よりもシンプルな設問構成となり、解答の根拠が明確でした。
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第2問:小説
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出典:蜂飼耳「繭の遊戯」
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文章量が昨年よりも増加し、比喩や表現に関する考察が求められる問題が特徴的でした。
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第3問:実用的文章(新設)
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主題:「わかりやすい言葉遣い」
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資料(グラフやメモ)と文章を基に考察させる問題。試作問題(2022年発表)の内容が反映されていました。
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第4問:古文
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出典:『在明の別』と『源氏物語』
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主題は「もののけと苦悩する女性」で、敬意表現を問う設問が新たに追加されました。
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第5問:漢文
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出典:『論語』の一節および江戸時代の学者の評論
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選択肢が四択に統一され、設問の明確さが増した一方で、説明問題は依然として受験生を悩ませる内容でした。
2. 各大問の特徴と難易度
(1) 第1問:評論文(観光における眼差し)
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テーマ:観光における「見る主体」と「見られる客体」の関係性に関する論考。単純な二項対立を超えた視点を求める内容でした。
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出題形式:すべての設問が一つの文章から出題され、選択肢は5択から4択に変更。
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難易度:昨年と比べてやや易化。選択肢が減少したため、正解の絞り込みがしやすくなった印象でした。ただし、考察を要する設問もあり、一定の読解力は必要です。
(2) 第2問:小説(蜂飼耳「繭の遊戯」)
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内容:詩的な描写を含む簡潔な文体で、登場人物の心情や比喩表現の意味を深く考察する必要がありました。
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特徴:昨年と同様に、選択肢がすべて4択になり、解答の選択肢を検討する時間は短縮されました。一方で、設問の根拠を本文から見つけるのは難しい場合があり、受験生にとって簡単とは言い切れません。
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難易度:昨年と同程度。ただし文章量が増加したため、時間管理が課題となった可能性があります。
(3) 第3問:実用的文章(新設)
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主題:「外来語の使用に関する意識と問題点」。生徒のまとめた文章と資料(グラフ、メモ)を基に考察する形式。
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出題内容:資料(横棒グラフ、折れ線グラフ)を読み取り、情報を適切に組み合わせた上で解答する設問が中心。
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特徴:試作問題を参考にした設問構成で、出題形式としては目新しいものでした。
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難易度:グラフや資料の読み取りが正確であれば解答が可能で、内容自体は試作問題と比べて平易でした。新設であったために動揺したということがなければ大きな失点にはつながらないはず。
(4) 第4問:古文(『在明の別』と『源氏物語』)
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内容:「物の怪」とその背景となる男女関係の葛藤が中心の物語。共通テストらしく、複数の文章を比較して解釈する設問が含まれました。
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特徴:敬語の種類や敬意の方向に関する知識を問う問題が初めて出題され、リード文を利用した読解も可能でした。
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難易度:昨年より設問数が減少したため、やや取り組みやすくなった印象です。
(5) 第5問:漢文(『論語』と江戸時代の学者の評論)
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内容:「学問と読書」に関する議論を扱った組み合わせ問題。基礎的な漢文知識を問うものが中心。
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特徴:近年出題されている複数漢文の組み合わせ形式が継続され、全体的に読み取りやすい設問が多かった。
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難易度:昨年と同程度。選択肢がすべて4択になったことで、解答の明確性が増しました。
3. 出題分量と受験生への影響
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全体の文字数:
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第1問:約3800字(昨年より短縮)
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第2問:約4300字(昨年より増加)
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第3問:【文章】660字、【資料】計約400字
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第4問:合計約1060字(昨年より減少)
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第5問:合計199字(昨年より微増)
受験生にとって時間配分が重要となる試験であり、第2問や第3問の増加した文字量が影響を与えたと考えられます。速読力の試される試験となりました。一方で、選択肢の減少や一部設問の明確化により、負担が軽減された部分もあり全体の調和がとられています。
4. 総評と学習へのアドバイス
2025年共通テスト国語は、昨年と比べて一部の出題形式や設問数が変更されましたが、難易度自体は「昨年並み」と評価されます。特に新設された第3問の実用的文章は、資料読み取りや言語活動の要素を取り入れた新傾向問題として、今後の試験準備において重視すべき分野です。
高二生以下への学習アドバイス:
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資料読み取りの訓練:グラフや表の情報を迅速かつ正確に読み取り、解答に結びつける練習を積みましょう。
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敬語や表現技法の知識強化:古文や漢文では、基本的な知識が解答の正否を大きく左右するため、基礎を確実に押さえることが重要です。
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時間配分の調整:文章量が増加しているため、練習段階で適切な時間配分を身につけておきましょう。
来年以降の受験生は今年の変更点を踏まえ、今後の学習計画に反映させることで、より効果的な対策が可能となるでしょう。