物理平均点:60.93点(中間集計:1月22日発表)
2025年度の共通テスト物理は、昨年と比較して大きな形式変更はありませんでしたが、出題内容や設問形式にいくつかの特徴的な変化が見られました。全体の難易度は昨年並みと分析される一方で、文字式を中心とした計算問題が増加し、受験生の対応力が試されました。
今年の物理試験は、以下の特徴が挙げられます:
文字式の計算が増加
数値計算の設問が減少する一方で、文字式を用いて理論的に計算を進める設問が増えました。この変更は、一部の受験生にとって取り組みやすいと感じられる一方で、計算に時間を要し、考察を伴う解答が求められたため、試験時間内に全問を解く難しさも浮き彫りになりました。
出題分野のバランス
全範囲から幅広く出題され、4つの大問が必答形式で構成されました。力学、熱、波動、電磁気という主要分野に加え、小問集合では原子物理の要素も取り入れられています。
探究活動・実験問題の減少
昨年に比べ、実験データを扱った問題が減少し、探究活動を題材にした問題は第2問の単振り子に限られました。その一方で、理論計算や考察力を問う設問が増加しました。
設問数の増加
全体の設問数が昨年より増加し、マーク数も2つ増加しました。また、選択肢の組み合わせを問う問題が10個となり、昨年より3つ増えています。このため、受験生は正確さとスピードの両立が求められました。
第1問は、多様な分野から基礎的な知識を問う小問集合形式で構成されました。
特に、3力の合成問題は見慣れない形式であり、受験生を戸惑わせた可能性があります。また、ブラッグ反射の問題では、波動と原子物理の基礎知識を組み合わせた出題となり、複数の分野を横断する学力が問われました。
単振り子の周期を測定する探究活動を題材にした問題が出題されました。
本問では、測定誤差やオシロスコープを活用したデータ読み取りの問題が特徴的でした。最後の設問では、重力加速度の地球自転による影響が問われ、教科書の補足的な記述まで理解しているかが試されました。
この大問は2021年以来、AとBに分かれた形式で出題され、それぞれ異なるテーマが扱われました。
A:熱力学(熱サイクル)
B:波動(波の干渉)
波動分野は苦手とする受験生が多い単元ですが、設問自体はヒントが多く、解答の手がかりを得やすい構成でした。
第4問では、コンデンサーやコイルを用いた電磁誘導現象がテーマとなりました。
コイルを扱う問題は出題頻度がやや低めであり、受験生にとって対策が難しかったと推測されます。また、グラフを用いた理論式との対応問題も含まれ、全体的に計算量が多い大問でした。
難易度
昨年と比較して、やや難化した部分もありますが、全体としては昨年並みと言えます。選択肢の絞り込みが容易な設問も多く、時間配分が適切であれば安定した得点が可能な構成です。
特徴的な傾向
基礎的な法則と公式の徹底
今年の試験では、教科書に記載された基本法則や公式をどれだけ応用できるかが鍵となりました。気体の状態方程式や電磁誘導など、典型的なテーマに対する理解を深める必要があります。
文字式計算の練習
文字式を扱う問題が増加したため、数値に頼らずに物理量の関係を整理して解く練習が重要です。
時間管理
設問数の増加に伴い、問題を解くスピードが求められました。過去問を活用し、時間内にすべての設問を解答する練習が必要です。
探究活動や実験データの理解
第2問の単振り子のように、探究活動を扱った問題は毎年出題されます。実験の背景やデータ処理の考え方をしっかり押さえましょう。
2025年度共通テスト物理は、昨年に比べて出題形式に大きな変更はなかったものの、文字計算の増加や設問数の増加が受験生にとっての課題となりました。全体として、幅広い分野からの基礎的な知識と応用力が試される試験であり、受験生には基本を徹底しつつ、柔軟な対応力を身に付けることが求められます。